死者のあやまち
1956年に発表されたアガサ・クリスティの長編推理小説「Dead Man’s Folly」の邦題。Wikipediaによれば、あらすじは「ポアロは、オリヴァ夫人の誘いでデヴォンシャーのナスクームにあるナス屋敷へと招かれる。祭りが開催される当地ではオリヴァ夫人が筋書きを考えた犯人当てゲームが行われることとなっていたが、夫人は本当の殺人が起こるかもしれないとポアロに話す。祭りの当日、オリヴァ夫人の懸念の通り、被害者役の少女・マーリンが本物の死体となって発見される。さらに、ナス屋敷の主の妻・ハティ夫人も姿を消してしまう。」
登場人物は、まずフォリアット夫人から、ナス屋敷の元所有者。戦争で息子2人を亡くす。現在は門番小屋を借りて住んでいますが、元々はこの屋敷の所有者であったフォリアット氏の奥様です。次に、ジョージ・スタッブス卿、現在のナス屋敷の主人。資産家でナス屋敷を買い取りました。実は、このスタッブス卿というのが、亡くなったはずのフォリアット夫人の次男なんです。相当なワルで手に余って南アフリカへやった、と言うのですが実は舞い戻って来ていたのです。そしてスタッブス卿の夫人である、ハティ・スタッブス、知能に障害があり天涯孤独の身だが多額の財産を持つ。両親を亡くしてしまいフォリアット夫人が後見人となっているハティですが、実は本物のハティはとっくに殺されて森の中の四阿の下に埋められています。フォリアット夫人の次男と結婚することでその資産はフォリアット家に移るのですが、次男のジョージはその時すでに結婚しており、そのイタリア女と別れられないジョージは、ナス屋敷に到着した晩に本物のハティを殺してしまうのです。その後はイタリア女が「ハティ」を演じていました。
ほとんどの人がイタリア女が演じる「ハティ」に騙されていましたが、中には真実を知る人もいました。昔からフォリアット家を知るマーデルという渡し舟の老人です。他意のないマーデル老人は孫娘のマーリンにこの秘密を教えます。ところがマーリンは他人の秘密を握ることでその口止め料としてお金を得ていました。そのお金で化粧品などを買っていることを妹に知られています。この孫娘マーリンが被害者役の少女で本当に殺されてしまいますが、その原因はいわゆる「ゆすり」です。殺したのはスタッブス卿(=次男)です。そしてマーデル老人も事故を装って溺死させられます。
あらすじにあるようにハティはお祭りの最中に失踪しますが、その原因は従兄弟(劇中では又従兄弟と言及している)の「エティエンヌ・ド・スーザ」がヨットで屋敷を訪ねてきたからです。そりゃそうですよねイタリア女がハティを演じているんですから、本物のハティを知っている人間が訪ねてきたら逃げ出しますよね。ところが地元の警察はハティ殺人犯としてド・スーザを逮捕します。死体も動機もないのに絞首刑にされかけます。従兄弟に会いに行っただけで絞首刑にされちゃうなんて危ない国ですねイギリスは!
今回の謎解き会はフォリアット夫人とマンツーマンで開催されました。原作ではポアロの推理に反論を試みるも四阿を掘り返す音を聞いて観念するシーンで終了となっていますが、ドラマでは四阿を掘り返す警察を見ながらポアロに少し時間が欲しいと懇願しています。この時すでにポアロは気がついていますが時間を与えます。ナス屋敷の書斎でスタッブス卿とフォリアット夫人は拳銃で自殺して終了です。拳銃の音が聞こえただけなのですがw まさかまた逃げ出してはいないでしょう。
タイトル画像でポアロが何故かミセス・オリヴァの肩を抱いています。手が長いのか上下が潰れているのか比率が変だなぁと思います。左端がスタッブス卿、その前の椅子に座っているのがフォリアット夫人、真ん中の最後方で大きなツバの赤い帽子をかぶっているのがイタリア女が演じるハティです。