そう言えば
前回のポアロ記事「死との約束」の中で昔話が出てきます。昔、商人がバグダットで死神に出会います。死神は商人を見て驚いた顔をします。商人は死神から逃れるためにサマラへ行くのですが、そこでまた死神に会います。商人は言います「バグダットで私を見て驚いたのはなぜか?」と。死神は言います「それはお前とは今夜ここサマラで会う予定だったからだ」と。この話のルーツはおそらくジェフェリー・アーチャー(Jeffrey Archer) 新潮文庫「十四の嘘と真実」に収録の「死神は語る」です。
— 引用始め —
死神は語る
バグダッドに住む一人の商人が、召使を市場へ買物に行かせた。しばらくすると召使が真っ青な顔をして震えながら戻り、主人に報告した。「だんな様、今しがた市場の人混みのなかである女と体がぶつかり、振りかえってみたところその女は死神でした。女は私を見て脅かすような身ぶりをしたのです。どうか馬を一頭お貸しください。この町から逃げだして死の運命からのがれたいのです。サマラの町まで行けば死神に見つからずにすむでしょう。
商人は馬を貸してやり、召使は馬の背に跨って脇腹に拍車をくれ、全速力で町から逃げ出した。
それから間もなく、商人が市場に行くと死神が人混みのなかに立っていたので、彼は近づいて行って話しかけた。「今朝わが家の召使と会ったとき、脅かすような身ぶりをしたのはなぜですか?」
「あれは脅かすような身ぶりではありません。」と、死神は答えた。「わたしはただ驚いただけなんです。じつは、今夜サマラで彼と会うことになっているので、バグダッドにいるのを見てびっくりしたんですよ」
— 引用終わり —
そりゃびっくりするわなw ところでわざわざこの話をしたのは理由があって、実はこのショートストーリーは「シャーロック」シーズン4 第1話にも出てきます。まあイギリス人からしたら昔からよく出てくるショートストーリーの一つなんでしょうけど。ポアロとシャーロックの意外な繋がりがヲタには殊の外嬉しかったりするんですw 死神に話を戻すと結局「死神」から逃れられなかったのは死んじゃったメアリーなのかシャーロックなのか犯人だったヴィヴィアンなのか。それは視聴者が答えを見つけなさいってことなんだろうな。この「死神の昔話」シャーロックは子供の頃から嫌いなんだそうですよ。メアリーはシャーロックを庇ってヴィヴィアンの銃弾に倒れます。ジョンはシャーロックに「守ると言ったじゃないか!」(シーズン3 第2話「三の兆候」ジョンとメアリーの結婚式でシャーロックが誓います)と怒りを爆発させシャーロックから距離を取ります。えっコンビ解消?ジョンの気持ちも判らんではないがというような内容です。シャーロックもオススメですよ。