Death in Paradise

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イギリスBBC制作のテレビドラマ、邦題は何故か「ミステリーinパラダイス」。。。原題の「Death…」はアガサ・クリスティのミステリー小説のタイトルによく使われることで有名です。なのでここで「Death」を他の単語に変えちゃったらおしまいですよ。シャーロック・ホームズをニューヨークに連れて来た作品が「Elementary」であったように、原作者に(本作品はオマージュとは言え)敬意を表したタイトルを勝手に無意味な邦題に変えてしまう日本人のセンスのなさに超絶ガッカリしますが、作品の中身が変わるわけでは無いのでグッと堪えますw

動画配信での紹介では「陽光あふれるリゾート地で起こる殺人事件。事件を解決するため、ロンドンから刑事がやってくる…。往年のアガサ・クリスティ作品を彷彿とさせる鮮やかな謎解きが楽しめる傑作ミステリー」と書かれている通り、フォーマットはクリスティ作品にほぼ則っている感じです。最後の関係者全員を集めての謎解きなどはまさにクリスティテイストそのものです。映像でも後になって謎解きのきっかけになったと判明するようなシーン(モノや風景)が特に説明もなく場面転換の際に映り込まされているなど細かいところにも気配りがされています。

物語の舞台はカリブ海に浮かぶ架空の島「セント・マリー島(Saint Marie)」(実在のマダガスカルにあるセント・マリー島とは無関係) 劇中では「サン・マリー」と聞こえるので以降は「サン・マリー」とします。現在はイギリス領と言うことになっていますが、かつてフランス領からイギリス領となり、その後オランダ領、フランス領を経て1970年代にイギリス領となった関係で、住民の30%はフランス人と言うことになっています。これはドラマのロケがフランスの海外県である「グアドループ」で行われていることも関係していると思います。登場するクルマが左ハンドル、右側通行だったりするので。住民は英語とフランス語を学んでおり、公用語は英語ですが住民同士はフランス語で会話するシーンなどが初期のシーズンでは出てきます。またサン・マリー出身なのにフランス語を理解出来ないのが事件解決の鍵になったエピソードなどもあります。

オノレー警察署(Honore Police Station)の署員を中心に物語は進みます。Honoreという名称はアガサ・クリスティ原作のミス・マープルシリーズ「カリブ海の秘密」に出てくる架空の島である「Saint Honore」へのオマージュです。オノレー署には刑事としてDI(Detective Inspector)が本国から派遣され、その下にDS(Detective Sergent)が配置されています。刑事以外の制服組として、Officerが2名配置(のちに1名がSergentに昇進)され、ほとんどのエピソードにおいて4名体制で勤務、事件の謎を解くことになります。小さな所帯なので刑事と制服組が連携して活動します。現地人と思われる設定の署長はオノレー署ではなく政府庁舎に在籍していることになっているので登場回数はオノレー署員に比べると少ないです。そのためシーズン9まで継続して配役されている唯一の警察関係者となります。その他の配役ではシーズン6最終話(第8話)で新市長となるキャサリンがレストラン・バーのオーナーとしてシーズン9まで配役されています。階級の話に戻るとロンドンなどのイギリス本国ではOfficerではなくConstableを使いますがこの島ではOfficerと呼ぶようです。小さな島という関係で鑑識などは置かれておらず、制服組が指紋採取や照合なども行っています。毒物検査などの高度な鑑識捜査は近隣のフランス領の大きな島で行っているようです。DIは刑事警部補、 DSは刑事巡査部長なのですが、翻訳は字幕の都合でそれぞれ警部補と巡査部長とされています。日本語字幕の翻訳家は自分の仕事に誇りを持っていると言うよりはやっつけで訳して終わりというケースが多く、専門分野を一生懸命調べて意味的な整合性を担保する、と言う姿勢の人はほとんどいないので、吹替・字幕とも原作のテイストをかなりスポイルしてしまっているのが残念な日本そのものではあります。一応翻訳者の名誉のために言っておくとこの作品はかなり良い方だと思います。

1エピソード60分のフォーマットで1シーズンは8話構成です。半年以上の制作期間を要し、その間主要キャストはグアドループに長期間の滞在を余儀なくされるなど、劇中ののんびりしたカリブ海の島という雰囲気を作るための苦労は相当なもののようです。そのため主要キャストであっても交代は結構あります。

本作の主役と考えられる本国から派遣される警部補はシーズン9までで5人登場します。最初に登場するチャーリー・ヒューム警部補は第1話のみの登場です。物語冒頭で射殺されてしまうので以降は登場しません。チャーリー・ヒューム警部補殺人事件の指揮を取るために新たに派遣されたのが2人目のリチャード・プール警部補です。シーズン3の第1話まで登場します。ネタバレになりますがそのエピソードで刺殺されてしまいます。そしてリチャード・プール警部補の殺人事件を解決するために派遣されてきたのが3人目のハンフリー・グッドマン警部補です。彼はシーズン6の第6話まで登場しますが、彼の場合は殉職ではなく新たにできた恋人のそばにいることを選択してロンドンへ戻ります。このエピソードは何度見ても面白いです。シーズン6の第5話から参加していたジャック・ムーニー警部補が4人目としてハンフリーに代わって島にやってきます。彼はシーズン9の第4話まで登場します。彼も殉職ではなく旅を終えるという形でロンドンへ戻ります。シーズン9の第5話からはネヴィル・パーカー警部補が5人目としてやってきますが、実はこの俳優さんシリーズ前半のエピソードで別の役で出演していました。ガラリと性格を変えて警部補として再登場です。シーズン10もコロナ禍でかなり苦労して撮影され2021年1月からイギリス本国では放送が開始予定となっています。

【最終更新日: 2021年2月7日】
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