ヒューゴの不思議な発明
今ならアマゾンプライムで見られます。『ヒューゴの不思議な発明』(原題: Hugo)は、2011年のアメリカのドラマ映画。ブライアン・セルズニックの小説『ユゴーの不思議な発明』を原作とする。Wikipediaによれば「1930年代のパリ。孤児のユゴー・キャブレ(英語風の読みはヒューゴ・カブレ)は父の遺したからくり人形と共にリヨン駅の時計台に隠れて暮らしていた。ある日、ユゴーはハート型の鍵を持つ少女・イザベルと出会い、2人はからくり人形に隠された謎を解き明かそうとする。」というあらすじである。
原作ではパリ・リヨン駅が舞台となっているが、映画ではモンパルナス駅に変更されている。また原作ではヒューゴの父は時計職人とされているが、映画では博物館の学芸員である。またイザベルの養父として登場するジョルジュ・メリエスは実在の人物である。
主人公であるヒューゴは父が博物館の倉庫で見つけたからくり人形(劇中ではオートマタと呼ばれる)の修理をしている。
学芸員である父は博物館の火事で亡くなり、叔父であるクロードが住む「モンパルナス駅」の壁の中に住んでいる。クロードの仕事は駅にある時計の時刻合わせと修理などであった。クロードから時計管理を叩き込まれたヒューゴはクロードがいなくても駅の時計を管理できていた。鉄道公安官はクロードが管理しているものだと思い込んでいたが、クロードが行方不明ののちセーヌ川で遺体で発見された後「誰が時計を管理していたんだ?」とつぶやいている。この鉄道公安官は駅で悪さをする孤児を見つけては「孤児院」へ送り込んでいたためヒューゴは捕まることを極度に恐れている。
ある日、駅構内のおもちゃ屋でからくり人形の修理に使うためにネズミのおもちゃを盗もうとしたところを店主であるジョルジュに見つかり、父から譲り受けた修理に必要なからくり人形の構造図が描かれたノートを取り上げられてしまう。ヒューゴはこの時は知らなかったがジョルジュはからくり人形の製作者であった。ノートを取り戻すためジョルジュの後をつけその際にジョルジュの養女イザベルと知り合う。イザベルは実の両親を知らないことで自分の人生の目的を見失っていると言う。ヒューゴはジョルジュに修理の腕前を披露しそれを認められてこれまで万引きした分を返すためとしてジョルジュのおもちゃ屋で働くことになる。
イザベルは本の虫で駅構内の本屋がお気に入りの隠れ家のような存在であるが、なぜか映画は観たことが無いという。義両親が許してくれないのだとか。この時イザベルは知らなかったが、ジョルジュは有名な映画監督(脚本も主演も何もかも)で第一次世界大戦により死亡したことになっていた。またママ・ジョルジュと呼ばれる義母はジョアンヌ・ダルシーという映画女優であった。ジョアンヌ・ダルシーもジョルジュと同じく実在の人物である。
イザベルが持っていた「ハート形のキー」がからくり人形を動作させる文字通り「鍵」となっていた。その鍵はママ・ジョルジュからもらったものである。Wikipediaでは「ハート形の鍵を差し込みゼンマイを回してみると」と書かれているが、映画ではゼンマイを回すハンドルは別についており、まずそのゼンマイを巻き、その後ハート形の鍵をハート形の鍵穴に入れ360°回してからくり人形を起動させている。からくり人形が描いたのはジュール・ベルヌの「月世界旅行」を映画化した際に描かれた、砲弾型の宇宙船が月面(顔)に突き刺さっている様子であった。そしてそのからくり人形は最後に右下へ「ジョルジュ・メリエス」とサインをするのである。イザベルが「パパ・ジョルジュの名前よ」と言う。
ヒューゴとイザベルはルネ・タバールという映画研究者と出会い、ジョルジュの正体を知り、またルネが保存していたジョルジュが製作した映画をママ・ジョルジュと一緒に観ることになり、映写機の音に気がついたジョルジュ本人も出てきて、ヒューゴはジョルジュから全ての顛末を知ることになる。
第一次世界大戦前、マジシャンからスタートしたジョルジュ夫妻は成功を収め、自分の劇場を持つまでになっていた。映画の黎明期であり機械好きであったジョルジュは映画の魅力にとりつかれ全財産を映画のためのスタジオにつぎ込み何百本もの映画を撮った。映画は大変好評で人々に夢を与えたが、第一次世界大戦後には人々の嗜好は変わりジョルジュの映画は廃れていった。スタジオも廃業し残されたフィルムを化学会社へ売却、フィルムは靴のヒールとなった。フィルムを売却した資金で駅構内のおもちゃ屋を購入し現在に至っているという。
当時のものは何も残っていないというジョルジュに対しヒューゴは「少し待っていて」と言い残しイザベルの家(ジョルジュの家)を飛び出し駅に向かう。そして修理した「からくり人形」を持ってジョルジュの家へ向かうのだが、途中で叔父のクロードが亡くなったことを知った鉄道公安官に捕まる。その際からくり人形は壊れてしまう。孤児であることが鉄道公安官にバレたが、ジョルジュは「その子はうちの子だ」と引き取る。この鉄道公安官、実は花屋の女性に恋をしておりまして、ヒューゴを解放する過程で優しい心に目覚めそれがきっかけで結ばれることに。
ルネの努力によりジョルジュのフィルムのいくつかは再発見され、観客の拍手喝采を浴びながら再上映された。
基本的にはハッピーエンドである。メッセージとしては「人は誰でも何らかの目的があって存在している」「世の中に無駄な人は存在しない」「存在の目的を探すことはとても重要なこと」まだ幼いヒューゴは父を亡くし、父が唯一残したからくり人形を修理することで父からのメッセージを得ようとしていた。からくり人形の修理にこだわる過程で、ジョルジュと出会い、イザベルと出会い、ルネと出会い、そして「からくり人形」の修理とともに成長したように思える。
これは現代のリヨン駅(Gare de Lyon)
最終更新日: 2017年10月23日